2018年 01月 16日
『虐殺器官』 伊藤計劃
9・11以降、先進諸国は徹底的な管理体制を敷きテロを一掃する。しかし、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に、常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かうのだが― (「BOOK」データベースより)
病身で書かれたとはにわかに信じがたいデビュー作。
ジョン・ポールが発見した虐殺の符号とは果たしてなにか。おぞましい真実を知ったその先に、クラヴィスによるアメリカ殲滅という絶望と希望のカタストロフが待っている。
映画フリークだった作者によるエンタテイメントは、そのまま映像として見ているかのよう。近未来像がよりディストピア化した『ハーモニー』を先に読んでしまったせいか、主人公のセンチメンタルが邪魔をして、描写ほど鋭利に抉られることはなかった。
by haru-haru-73
| 2018-01-16 22:15
| 本
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