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ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女 (2016年)

 『八月のクリスマス』『春の日は過ぎゆく』『四月の雪』と 、どれも好きだったラブストーリーの名手ホ・ジノ監督の新作。あの抒情を期待して拍子抜けした歴史エンタテイメント。

1930年代初頭、日本統治時代の韓国。初代皇帝・高宗の側室の娘として生まれた徳恵翁主(トッケオンジュ)(ソン・イェジン)は、政略に巻き込まれてわずか13歳で日本に留学させられる。祖国へ帰りたいと願いながら叶わぬまま、大人になったトッケは、幼なじみのキム・ジャンハン(パク・ヘイル)と運命の再会を果たす。秘かに朝鮮独立のために奔走していたジャンハンは、王朝復興を目論み、トッケを上海へと亡命させるべく工作するのだったが―

どちらにも寄らない感性の人とおもっていただけに、これほど史実と異なる脚本を良しとしたホ・ジノ監督にちょっと驚く。
本国の人々にさえ、長くその存在を忘れ去られていたという悲劇のプリンセス、徳恵翁主の存在を、わたしももちろんこれぽっちも知らなかった。
観る前にWikipediaを開いたのは、冒頭のテロップに”脚色がある”と断っていたためだ。なるほど実際の人生とは大きく異なる。母の死に目にさえ会えず、長年故国の地を踏めなかったという悲劇の要が脚色であるとなると如何ともしがたい。
ただ、大日本帝国の時の権力によって迫害された多くの朝鮮人がいたこと、四月革命以後の不安定な情勢の下で新政権がトッケの入国を拒否したことは、両国の黒歴史としてひりひりと史実を伝えてくれる。

薄幸そうなソン・イェジンをはじめ、それぞれの半生を老けメイクで臨んだ出演陣が篤い。日本からは李皇帝の妻役で戸田菜穂が出演。序盤以降、日本が舞台になるだけに、日本語を使うシーンが多くてみなさんがんばっていた。
若くして精神を病んだトッケの人生は、赤裸々に描くには受け入れがいたい面があったのかと、勘繰らずにいれない、エンタテイメントに寄った歴史ものとなっていた。

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 (127min)
by haru-haru-73 | 2018-02-23 22:38 | 韓国映画 | Comments(0)