2017年 11月 06日
孤独のススメ (2013年) 持たざる者が人生を救う
(あらすじ) オランダの田舎町を舞台に、最愛の妻を亡くし、息子は家を出、孤独に生きる男フレッド(トン・カス)が、ひょんな成り行きからほとんど喋らない謎の中年男テオ(ルネ・ファント・ホフ)と共同生活を送るハメになり、単調だった日常が様変わりしていく中で、思いがけず自らの人生を見つめ直していく姿を描いたコメディ・ドラマ。 (allcinemaより)
『ムカデ人間』シリーズを生み『武器人間』を生んだ、オランダ発シニカル・コメディ。
奇をてらわない無垢の代弁者テオのヘンテコぶりがいい。彼に出会って、暫時孤独を忘れ、世話を焼く主人公は、やがて見まいとしてきた己の現実と向き合うことになる。
ほのぼの小ぶりな良作を期待すると、思いがけず地雷を踏まされる辣な味わい。
テオの過去はわからない。むかし事故にでも遭ったのか、優しい妻に愛され、ちゃんとした帰る家まである彼は、元々ふつうの社会人だったのかもしれない。
一方、同性愛者である息子のありのままを愛してやれず絶縁状態でいるフレッドは、孤独を招いた己の不寛容に、初老になってやっと気がつくのだ。
家族を取り戻すのに、遅すぎるなんてことはない。友を持つのにも、遅すぎるなんてことはない。
人生はいつだってやり直せる。
高齢化社会を生きる現代らしいメッセージがさりげなくも力強い。
(監督 ディーデリク・エビンゲ/86min)
by haru-haru-73
| 2017-11-06 09:35
| オランダ映画
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