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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 (2017年)

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愛すべき名篇『ザ・ペーパー』然り、2015年アカデミー作品賞に輝いた『スポットライト 世紀のスクープ』然り、新聞社ものは得も言われぬわくわくがある。タブーに切り込むスリル、締め切りに追われる焦燥感に、新たな秀作が生まれた。

(あらすじ) ニクソン政権下で機密文書“ペンタゴン・ペーパーズ”を公開し、ベトナム戦争の欺瞞を暴き出したワシントン・ポスト紙に焦点を当て、就任したばかりの女性発行人キャサリン・グラハムが、政府を敵に回し、経営危機を招く危険を冒してでも記事にすべきかという重い決断を下すまでの葛藤の行方を描き出す。

社長キャサリン役にメリル・ストリープ、編集長にトム・ハンクス、監督にスピルバーグとくれば面白くないわけがない。会社の存亡を賭してまで貫き通した人々のジャーナリスト魂に頭が下がるおもい。名優たちが魅せるのは実話のスリルだけじゃない、いま、日本で脅かされる言論の自由のかけがえなさをも知らしめる。

物語は、ベトナム戦争に関する戦況悪化を示す機密文書を外部へ持ち出し、気の遠くなるほど膨大な資料のコピーを作成した一人のジャーナリストの勇気にはじまる。当初、ニューヨーク・タイムズに持ち込まれたネタは、大スクープとなりアメリカ中を騒然とさせるのだった。しかし、時のニクソン政権によって裁判所からの記事差し止め命令が出されてしまう。出し抜かれたトム・ハンクス率いるワシントン・ポスト紙は、情報源を突き止め、タイムズ紙以上に踏み込んだ記事を完成させるのだが、掲載するべきか否か。新聞社を破滅に導きかねない決断は、亡き夫の後を継いだ社長メリル・ストリープの決断に委ねられることになるのだ。

堂々と王道をいき期待を裏切らない。何度も観てきたはずの勝利に湧くエンディングさえ、飽いても文句は出ない。
ジャーナリズムの勝利、ベトナム戦争反対の声、そして翌年、ニクソンによるウォーターゲート事件が起こる。民主党本部に忍び込む男のカットで終わる余韻と投げかけがじつに見事だった。

 (116mi)
by haru-haru-73 | 2018-04-09 10:58 | アメリカ映画 | Comments(0)