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ガンジスに還る (2016年) 死期を悟った父と見守る家族の旅路

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 死期を悟り聖地“バラナシ”で最期を迎えたいと宣言した父・ダヤ(ラリット・ベヘル)と、戸惑いながらも付き添うことにした仕事人間の息子・ラジーヴ(アディル・フセイン)とその家族、それぞれの心の機微を繊細なタッチで描く。

広大なインドでタクシーを駆ってあのガンガーへと辿り着けた一家は、まだ幸せな方かもしれない。夢の地へ赴くことすらできずに死ぬ敬虔な人々がどれほどいるかしれないインドで、ガンガーと家族に看取られる最期は幸せだ。
奇をてらうことないありきたりな物語は、もっと扇動的でいいとさえおもわれるほど抑えた小品。
ダヤによく懐いた孫娘が可愛らしい。結婚を控えた現代っ子の孫娘さえ、いまだ恋愛結婚ではないらしい、インドの先進的な面と古き悪しき一面が垣間見える、市井の人々の日常も興味深い。
インドの風習を知っていればなおさらここでしか見られないものを求めるけれど、あのむせ返る匂いや高揚感に引き戻されることはなく。ちょっと、うつらうつらしてしまった。

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            (2010.7/旅日記より)

本編で父ダヤが最期の時を過ごす“解脱の家”や、火葬場となるガートの景色に、10年前の旅の記憶がドキドキと蘇る。マニカルニカー・ガートの裏路地を歩いたときの、強烈な匂いや畏怖や敬虔な感情は、とても忘れがたい。いまだに再訪を夢見ている。
監督は、インドの若き新鋭シュバシシュ・ブティアニ氏。
by haru-haru-73 | 2018-12-03 09:20 | インド映画 | Comments(0)