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『うたかたの日々』 岡崎京子

『うたかたの日々』 岡崎京子_d0346108_20223268.jpg 映画好きの同僚さんと、ロマン・デュリスの笑顔がいかに魅力的かを語り合っていたとき、岡崎京子さんが描いた『ムード・インディゴ』があるというのでびっくり。
さっそくお借りして読んでみたら、ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』そのままが、違和感なくアンニュイな一冊にまとまっていて素敵だった。赤い布張りの函入りという、装丁までが愛おしい。

 無垢な魂を持つ美女クロエと出会い、一目で恋に落ちた資産家のコラン。2人はやがて愛を育み幸せに結婚するが、ある日突然、クロエの肺に睡蓮の花が咲く奇病が巣食う。コランは彼女を救うべく財産を使いつくし....人生で初めて働き始めるのだが―

ファンタジックに夢のような前半部から、転落して潰えていくふたりの幸福が物悲しい。なにもかも失うコランと親友のストーリーが、どちらも胸にイタイ。
こんな小説を書いたボリス・ヴィアンの個性と、岡崎京子さんの独特な絵のタッチが実によく似あっていた。
ただひとつ、映画で絶妙に表現されていた”ピグルモア”ダンスの奇妙が、割愛されていたのはちょっとざんねん。



 
by haru-haru-73 | 2019-04-22 22:36 | | Comments(0)