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ひろしま (1953年) 原子雲の下の真実

 今年の夏、忘れ去られた名作として、映画「ひろしま」に関するドキュメンタリーと、その後の本編を観た。悲惨という言葉ではとても言い尽くせない、原爆投下直後の広島を、8万人を超す市民がエキストラとして参加し再現したそのフィルムは、今まで観てきた原爆映画のすべてをリアリティの上で凌いでしまう恐ろしさだった。
物語は広島にある高校3年生のクラスにはじまる。生徒の大庭みち子が鼻血を出して倒れ、原爆による白血病が原因だとわかるのだ。クラスの三分の一を占める被爆者たちは偏見や発病の恐怖に怯えながら暮らしてきた。彼らの記憶は、忌まわしい原爆投下のあの日へと遡っていくーー。

恐ろしい。恐ろしいとしかいえない。去年の6月、広島を訪れて見てきたものを思い出しながら、想像を遥かに超える地獄があったことを再び記憶に刻む。こうして恐怖心を植えつける意外、反戦の意志を強く持ち続けることは不可能で、ただ怖い、だから戦争はイヤだと単純な条件反射を毎年繰り返すしかないのかもしれない。
75年間草木が生えないといわれた広島にも、やがて緑は芽吹き、人々は希望を取り戻した。数万の人々が、あの日大勢亡くなった川を渡り平和記念公園へ集うラストシーンの行進の力強さを忘れてはいけない。 (104min)

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by haru-haru-73 | 2019-09-19 22:54 | 日本映画 | Comments(0)