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沖縄 (1970年)

 (あらすじ) 日本へ返還される前の沖縄を舞台に、故郷を奪われた人と労働者たちの苦悩と怒り、熱い戦いを2部構成で描き出した長編映画。

 わたしにとって沖縄は生まれた時からずっと日本で返還される前を知らない。だからどのように土地が奪われ、それに抗い、歴史的返還を経てもなお基地問題で揺れているのか、いまいちよくわからなかった。こうして映画を通してでも知ることの必要をおもう。
先日のドキュメンタリー映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』と一続きで観れば県民意識というものの理解がさらに深まるとおもう。

戦後アメリカとなった、沖縄の貧しい市井の人々の暮らし。主人公の青年(地井武男)もまた生きるために、ベトナム戦争で使う過酷な兵器工場で働かざるを得ない。脈々と続く憤りが沖縄の精神を真摯に映し出す。
アメリカとの闘いばかりじゃない、戦後、富める側の者もいた。大多数の貧しい人々は辛抱続きで、詐取され続ける、あまりに理不尽な構図がそこにある。
生きることに誠実な主人公の青春物語をベースに、恋と闘争の記録を綴る、まさに”沖縄”の映画。

監督は武田敦氏。地井武男氏の好演が光る。195分の長尺に耐える骨太社会派作品だった。


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by haru-haru-73 | 2020-07-23 14:30 | 日本映画 | Comments(0)