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金沢古書店巡り

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 働きながらいつも思うのだけれど、ブック〇フはともかく、古書店は密にならない。この旅に古書店が開いていて本当によかったよ。
はじめはオヨヨ書林 せせらぎ通りさんへ。端から端までじっくり棚を眺めると、欲しい本がたくさん見つかります。手あたり次第なんて贅沢なことはできないから、吟味して数冊選んだなかには、作業台に置かれて値付けのされていない『切腹考』が! これはわたしのささやかな探求書です。
お店の方が値段をつけてくれて贖えてうれしい。ついでに、「先ほどお電話された方ですか」と聞かれて「?」でしたが、閉店時間を尋ねる電話があったそうで、それはわたしじゃないけど逆にもう閉店間近なのに驚くのでした。全部の棚を眺めるだけで時が経つのはあっという間。

外へ出ると、長くなった初夏の陽が暮れなずみながら、空を茜に染めていてほんとうに奇麗。
細い路地裏の、なんでもない風情にいちいち感心しながら、ホテルまでの道をブラブラ歩きました。


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二件目は金沢文圃閣さんへ。
ガレージ・セールのように大きく開かれた間口の、オープン営業スタイルにちょっと驚き。お値段も均一価格で単行本3冊で500円というからさらに驚き。長く外の砂埃にさらされて、古い本が手入れされずに置かれているざらっと感はあるけれど、こういう場所からめっけものを探し出す楽しさがあります。
ところが、本当に驚くべきは金沢文圃閣さんの出版社としての顔なのでした。知る人ぞ知る玄人向けの書籍は、その道でも有名なのだそう。
しかも、オープン営業している本が主ではなく、右手に閉ざされたマッドな一画こそが古書店の心臓部で、事前に予約しなければ開かないすっばらしい空間なのだと、帰札した後で気付くという不用意。

古道具に囲まれた奥にある、これまたオープンな事務所の中に声を掛けると、手を止めた事務員の女性がお会計の応対をしてくれました。室生犀星の「みえ」を購入。


さらに別の日、写真はないけれど近八書房さんにも立ち寄りました。相変わらず番台に坐したご主人の風情がすてき。
端から眺めていった奥の棚に、なんとこちらも密かに探していた『懺悔としての哲学』を発見! この本は、ちょうどどこでも手に入らず、いつか道立図書館の館内利用で三度も通って読んだもの。箱付きだとは知らなかったな。この本にばったり巡り合ったことだけで満足してしまって、迷わず贖い帰りました。

嗚呼、たのしい。旅先の古書店巡り。
積読本の山はメーターを越えますます高くなる一方。それでもやめられない趣味があることがなによりうれしい。


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by haru-haru-73 | 2021-05-30 16:10 | 古書店アルバイト日誌 | Comments(0)